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都市の「シェルター」をリサーチするプロジェクト「Shelter Studies」。サンパウロ、カラカス、ボゴタ、ニューヨーク、ジュネーヴ、パリ、ロンドン、イスタンブール……世界の都市を巡り、そこに住まう人々への30のインタヴュー|Shelter Studies is project to research various 'Shelter' by Keisaku Fukuda+Robert Schmidt+Gonzalo Velez. They interview 30 key persons living in vulnerable urban space.|Powered by MT 2.65Syndicate this site

氏名: ベルクイン・モンカーダ
職業: ホリアン・ブランコの財務担当、銀行員
国籍: ヴェネズエラ
収録日: 2006年10月21日


テオリンダ女史にインタヴューさせてもらいたいと頼んだとき、その場所の提供を申し出てくれたのがベルクイン・モンカーダさんだった。一目お邪魔したときから、僕らの「バリオ」に対する偏見は打ち砕かれた。綺麗に掃除された室内には、赤を基調とした壁紙やソファが置かれ、都市生活を送っていくための一通りの電化製品が揃っていた。そして、遠い極東の国からやってきた僕らを、陽気な音楽と微笑で迎えてくれた。インタヴューが終わって外に目をやると、日は暮れ、バリオの家々からこぼれる灯りでつくられた夜景が美しかった。

お名前とご職業を教えて下さい。
ベルクイン・モンカーダです。(ホリアン・ブランコ)の財務担当です。銀行では秘書として働いています。同時に、教師になるために、大学で教育の勉強をしており、ここホリアン・ブランコに住んでいます。

どのようにして、バリオス改善活動に関わるようになったのですか?
ある日曜日にテオリンダ教授が私を招待してくれたのですが、その日はちょうど、ベネズエラ中央大学から教授が訪れていた日で、その日以来、私は活動を続けています。この活動に関わるようになって、もう10年ほどになりますね。

バリオのポジティヴ/ネガティヴな面を教えて下さい。
バリオでは、すべての住民がお互いのことを知っていて、強い連帯関係があり、例えば交通の問題や水道の欠如といった共通の問題をわかちあっています。私たちは、近隣の住人同士でひとつのまとまりをつくり、互いに助けあっています。病院に行くことができない病人が出た場合、誰かがその人を助け出します。誰が病気にかかり、誰がなんらかの助けを必要としているのかということをつねに把握しているのです。
ネガティヴな面は、すべての問題を分かち合っていることです。例えば、舗装されていない道路や未整備の水道設備などです。もし、こうした問題を改善できれば、私たちのここでの生活の質は変化することでしょう。私たちは、私たちの家のドアの前まで運んでくれる規則的な交通システムを持つほどに、都心部に住む人たちと同様でありたいのです。都心部にある交通システムと同等か、あるいはそれ以上の交通システムを持つことで、バリオに住む私たち全員が市民になることができ、その権利を持つことになるのです。そのほかの問題は、警戒、あるいは警察システムの欠如による犯罪の存在でしょう。バリオでも、またカラカス全体でも犯罪はとても増えています。

バリオの改善に関連した、あなた自身の夢や希望を教えて下さい。
大学、政府、そしてコミュニティを結集させること、そして、生活の質を向上させ、人口過密ではなく、少年、少女、カップルたちがひとつの部屋を共同で使う必要のない場所へ家をつくるという共通の目標に向かわせることです。同様に、家だけではなく、精神的な問題、法律的な問題、あらゆる問題に関してもね。
バリオを改善するという夢は、カラカスの街、ベネズエラという国、そして世界を改善するということでもあるのです。私たちは、学校の不足や犯罪といった、グローバル化した共通の問題に直面しています。この夢の実現のために、市民自らが参加の必要性を感じるように、私たちはすべてのコミュニティを巻き込むことが必要だと思います。