中谷礼仁/建築史・歴史工学

『みすず』12月号 『村野藤吾著作集』 『HIROSHIMA 1958』 『エコ・ロゴス 存在と食について』 『美術手帖』8月号 『東京読書──少々造園的心情による』 『和風胚胎』

●1
鈴木了二「建築──非建築の荒野で」(『みすず』12月号)
村野藤吾『村野藤吾著作集』全1巻 (鹿島出版会)
エマニュエル・リヴァ『HIROSHIMA 1958』(インスクリプト)
雑賀恵子『エコ・ロゴス 存在と食について』(人文書院)
岡崎乾二郎監修「現代アート基礎演習」(『美術手帖』8月号)
坂崎重盛『東京読書──少々造園的心情による』(昌文社)
渡辺豊和『和風胚胎』(学芸出版社)

特に発行年に関係なく読んでいるので(というか古い本を読むことの方が多いのだが)、きわめて偏りがあるかもしれない。いずれにせよ上記書籍は、深く鋭く頭脳を越えて臓腑に食い込んでくるという意味で一致しております。


●2
田中純「白井晟一・虚白庵にて 独学に学ぶ」12.13
田中純の鋭い切れ味が、白井晟一の書斎空間と合致してきわめて濃厚な空間が生まれた。
また私事で申し訳ないが、一人で中欧5カ国で講演ツアーをやった時の聴衆の反応は強く印象に残っている。特にルーマニアではヒロシマのグラウンド・ゼロから何が生まれたかを、当方が研究の主眼に置く先行形態を基本に多角的に検討するというコアな内容だった。その内容がチャウシェスク政権崩壊後、都市的カオスが充ち満ちたルーマニアの大学生たちに深い共感をもって迎えられたことが忘れられない。グローバリズムがもたらした世界の亀裂、余白、災害地こそ、むしろ希望の地だという思いを強くした一年だった。