槻橋修/建築家

『ハウジング・フィジックス・デザイン・スタディーズ』 『建築の規則』
1──『ハウジング・フィジックス・デザイン・スタディーズ』
2──『建築の規則』

●1
小泉雅生監修『ハウジング・フィジックス・デザイン・スタディーズ』(INAX出版)
まだ完全に見えていないですが、建築が取り組むべき課題の新しい一端がまとまった本になっていると思います。

坂牛卓『建築の規則』(ナカニシヤ出版)
建築の解釈だけに特化した建築論ではなく、常に建築を「つくること」を前提にして「読むこと」が理論的に展開されている。読んだあとに、建築を語り合いたくなるような理論書。


●2
高峯格《大きな休息 明日のためのガーデニング1095m2》展 せんだいメディアテーク/11.29〜12.24
美術家としての生を誠実に生きようとする作家の初の回顧展。研究室の学生が作家の滞在制作をサポートしたこともあり、その制作過程から意見交換する機会を得た。
取り壊しを待つ民家の一部やその内部にあった廃材を集めてのインスタレーションということで、建築と現代美術の発話の違いについても現実味を持って感じることが出来た。

《イエノイエ・プロジェクト》横浜トリエンナーレ2008/9.14〜11.30
自分も関わっていましたが、港湾地区の芝生広場の真ん中にたつパヴィリオンの光景が印象に残りました。

坂本一成 建築展《日常の詩学》東京工業大学百年記念館/10.2〜10.21
坂本一成氏の創作活動を振り返る作品展。キャンバスにプリントされ会場につり下げられた超大判の写真は、坂本作品に通底する思考の精度の高さを表現していた。
「水瀬の町家」の実物の「小ささ」をリアルに感じさせる大画面展示から、氏がスケールの魔術師と呼ばれる所以を体感できた。

ハウスクエア横浜オープンカレッジ「住まいの現在・未来形 II」第4回 五十嵐淳氏
近作の設計を通して住宅空間の「密室性」というキーワードを出されていたのが興味深かった。空間をいかに開放するかを考える上で、密室から考えるというルートがあるとは。
多くの実作を通して思考を練り上げてきた五十嵐氏ならではの説得力をもっていた。