1──『建築史』上巻
2──『建築史』下巻
3──『グラウンド・ゼロから──災害都市再創造のケーススタディ』
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オーギュスト・ショワジー『建築史』(桐敷真次郎訳、中央公論美術出版)
19世紀末に出されたフランス人による壮大な世界建築の歴史。19世紀に出されるようになった一連の建築史書の系譜につながるものの、それまで以上に地理学や構造学に傾倒した見方を提示するところにショワジーのユニークさと歴史的意義がある。解説図版もショワジーの趣向を体現していて大いに楽しめる。なにより歴史的名著がようやく邦訳されたことに喜びを感ずる。
ジョアン・オクマン編『グラウンド・ゼロから──災害都市再創造のケーススタディ』(鈴木博之監訳、鹿島出版会)
いまや歴史的事件となった9.11を契機に、世界中でさまざまな議論が展開された。本書もそうした成果のひとつで、世界の都市が過去にどれほどの自然災害、人為的災害を被ってきたか、そして、人々はそれをどのように克服し、どのような努力のもとに都市を再生したかを詳細に検討する。たんに過去の事例を検討するだけでなく、これからの都市に対する展望が盛り込まれているところに魅力を感じる。
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