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特集:201401 2013-2014年の都市・建築・言葉 アンケート<

菊地宏

●A1
東京では、3/16に東横線の渋谷駅が地下化され、3/23には小田急線下北沢の地下化された。
どちらも、営業を継続した状態で、地下に鉄道を移設するという非常に複雑な工事を難なくやって見せた。
それとともに都市の様相は一変し、今まで使われていた空間が突如閉鎖され、利用者は混乱する中、多少の不満をもらしつつも新しい状況に適応していく。渋谷では、これを機に大規模な再開発が駅を中心に行なわれるが、地形に精通している人であれば、渋谷川との関係も気になるところだろう。
下北沢駅は、今まで小田急線と井の頭線によって四つに分断されていたが、これを機に町の構図も変わり、踏み切りで電車の通過待ちをしていた風景も消えた。不便であった町も今振り返ると何か寂しい。
ところで個人的な大きな出来事といえば、初めての単著『菊地宏 │ バッソコンティヌオ──空間を支配する旋律』がLIXIL出版より出版されたことだ。長い時間校正を重ね、撮りためた写真の選定など、自分にとっては新しい試みも多かった。内容は、ぜひ手に取ってみていただきたいが、自然観察を通じて見えてくる建築の空間や光そして色について書かれている。今まで漠然と感じていたことをひとつにまとめたことは、自分にとっても大きなことであった。

菊地宏『バッソコンティヌオ──空間を支配する旋律』
(現代建築家コンセプ・トシリーズ15、LIXIL出版)


●A2
今年も引き続き、都市の構造は大きく変わっていくだろう。特に立川駅周辺の開発、圏央道や首都高中央環状線の開通で東京の縦方向の交通網もかなり改善され、都市構造に大きなインパクトを与えるだろう。この二つが開通することによって都市内部でも首都高などの改造が急速に進む環境が整うことを考えると、これからの都市内部の大きな改変も気になるところだ。

●A3
外国人が今まで以上に東京を訪れるようになるだろう。ふと、街角や駅構内を見わたすと、サインのほかにお手製の注意書きや補助的なサインが目に付く。過密都市東京は、どうも計画されたサインだけでは
追いつかないのか、そういった親切心からくるサインなどが効果的であると同時に景観として醜いものにしていることも強く感じる。もっとサイン計画というものが洗練され都市景観として積極的に美しさに寄与していけば、国際都市としてより品の良い洗練されたものとして成長してゆくだろう。
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