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第12回村野藤吾建築設計図面展──都市を形づくる村野藤吾のファサードデザイン(2/4-5/6・京都)

村野藤吾(1891〜1984年)の建築家としての仕事を振り返るとき、その主軸をなすものの一つに、都市の街角の表情を形づくる建物として、オフィスビルや銀行、商業ビルや百貨店といった一連の作品群があることに気がつかされます。それらの建物は、その街のランドマーク的な存在として、長い時間にわたって人々に親しまれてきたものです。またいずれの建物も、村野独自のデザインが施された、独特の雰囲気を醸し出してもきました。
しかし、残念なことに、近年の激しい都市再開発の影響もあって、こうした高い価値をもつ村野の建築が次々と取り壊しの危機を迎えていることも事実です。すでに、初期の代表作であるそごう大阪本店(1933年)や、戦後の大作の一つである新ダイビル(1958年)などが取り壊されて姿を消し、大阪新歌舞伎座(1958年)も、現在閉鎖されたままの状態になっています。
こうした中、あらためて村野が都市に何をもたらそうとしたのか、その独自のファサードデザインと形態操作にどのような意図が込められていたのか、を確認することは、建築が都市に何をできるのか、良好な都市景観はどのようにすれば守り育てることが可能なのか、など、建築と都市の明日を考える上での貴重な手がかりを与えてくれることでしょう。
そこで、本展では、村野藤吾が都市の中で試みた大小21件の建築作品を取り上げて、端正で格調の高いデザインに込められた建築思想の在りかを確かめてみたいと思います。現存する作品を撮り下した現況写真も含め、原図や模型などの資料を通して、村野藤吾の世界の一端に触れていただければ幸いです。

■展覧会概要
会  期:2013年2月4日(月)〜5月6日(月・祝)
休  館:日曜・祝日、2/25(火)・26(水)、3/12(火)・13(水)
     ただし4月28日(日)から5月6日(月)までは毎日開館。
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
会  場:京都工芸繊維大学美術工芸資料館
    (京都市左京区松ヶ崎御所海道町、京都市営地下鉄松ヶ崎駅下車徒歩10分)
入  場:一般200円、学生150円、高校生以下無料

■記念シンポジウム
日 時:2013年4月20日(土)14:00〜17:00(開場:13:30)
会 場:京都工芸繊維大学60周年記念会館1階記念ホール
テーマ:村野藤吾の都市へのまなざし
パネリスト:
    塚本由晴(建築家・東京工業大学大学院准教授)
    酒井一光(建築史家・大阪歴史博物館学芸員)
司 会:松隈洋(京都工芸繊維大学美術工芸資料館教授)
定 員:150名
入 場:無料(当日先着順)

■出展作品
森五商店東京支店(1931年)
そごう大阪本店(1935年/現存せず)
フジカワ画廊(フジカワビル/1953年)
丸栄本館(1953年)
近映会館(1954年/現存せず)
ドウトン(現・コムラードドートン/1955年)
神戸新聞会館(1956年/現存せず)
読売会館・そごう東京店(現・ビックカメラ/1957年)
大阪新歌舞伎座(1958年)
泉州銀行本店(現・池田泉州銀行泉州営業部/1959年)
輸出繊維会館(1960年)
森田ビルディング(1962年)
日本生命日比谷ビル(日生劇場/1963年)
浪花組本社ビル(1964年)
千里南地区センタービル・千里市民センタービル(1964年・76年)
村野・森建築事務所(1966年)
大阪ビルヂング八重洲口(現・八重洲ダイビル/1967年)
高橋ビル本館(現・アールビル本館/1970年)
日本生命岡山駅前ビル(現・岡山タカシマヤ/1973年)
日本興業銀行本店(現・みずほコーポレート銀行本店/1974年)
村野・森建築事務所心斎橋事務所(1984年/現存せず)

■主催
京都工芸繊維大学美術工芸資料館
村野藤吾の設計研究会

■問い合わせ先
京都工芸繊維大学美術工芸資料館
〒606-8585 京都市左京区松ヶ崎御所海道町
Tel:075-724-7924
Fax:075-724-7920
E-mail:siryokan@kit.ac.jp


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