1980年代から90年代初頭をひとつのピークとした文学的表象としての東京論。下部構造がそのまま上部構造として現われる現在の都市・東京の体験はいま、どのような記述を求めるでしょうか。2000年代以降の、「地形」「土木」「地図」などによって東京を語るフレームのかけ直しは、ある種の文学的表象の困難を覆す発見的な過程と言えるでしょう。他方、現在の東京の文化的地政は、かつて新宿 ─ 渋谷 ─ 秋葉原......という文化資本の移動が描いたスペクトルと異なり、地理的連続性を切断し、接続し直すなかで形成されているとも考えられるでしょう。このとき、東京の内に、あるいは東京を越境して発現する連続性を東京の〈際〉性と呼んでみたい。
特集では、偶有的でも必然的でもある6つの「場所」の〈際〉性について考察します。
特集では、偶有的でも必然的でもある6つの「場所」の〈際〉性について考察します。