アメリカの街はどこも構成が似ていた。ダウンタウンにすべてが集中し、住宅はそのまわりに建てられる。みな自家用車で移動するため、少しダウンタウンから離れると歩いている人はほとんどいなかった。この特徴は中部ではもっと顕著で、ダラスやセントルイスは治安が悪く、ダウンタウンですら歩いている人は少ない。超高層建築などの最先端地域のすぐそばに、強盗などが頻繁に起きる地域があるという現実を肌で感じた。
そのような街の構成のなかで独自の発展をしていたのがシカゴの超高層建築群、ミネアポリスのスカイウェイである。シカゴは1871年に起きた大火の復興のため鉄の建築が推奨された結果、超高層建築建設ラッシュの先駆となり、戦後には世界一の高さを誇っていた《ウィリス・タワー》などが建設され、現在のスカイラインの原型となっている。ミネアポリスは冬には平均マイナス10度まで冷え込むという厳しい環境に対応して、ダウンタウンのビルの2階を結ぶスカイウェイが発達した。これはダウンタウンの80ブロックにわたり、総延長は11kmにおよぶ大規模なものである。アメリカのグリッド型ゾーニングの中に、このような自然発生な要素が組み込まれると街全体が魅了的になるのだと感じた。
建築ではエーロ・サーリネンによる《ゲートウェイ・アーチ》は感動した。あんなに美しく雄大な線を描くものは見た事がなかった。まさに象徴という言葉がふさわしい建築であった。
これらは2010年8月〜10月までの2カ月間にわたってアメリカ縦横断の旅に出たときの写真の一部である。