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146 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ──私たちが触れたアート
2012年7月29日から9月17日までの51日間、大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012が開催された。
越後妻有地域の760平方キロメートルにおよぶ広大な里山を舞台に3年に1度開催される世界最大の国際芸術祭だ。「人間は自然に内包される」このコンセプトを軸に2000年から開催されている。国内外のアーティストや建築家による数多くの作品や文化施設が、越後妻有の「いま」を伝えている。作品は棚田や森林の中、神社の中など越後妻有の地に溶け込んでいる。過疎化が進み廃校になった校舎や、廃屋にアートという命が吹き込まれ、新たな魅力を発信している作品もある。この地のすべてが大きな美術館となっているのだ。
杉浦研究室は2003年から十日町にて地域の方々と作品を制作している。今回も地域の方々とともに十二社神社に吹く心地よい風や木漏れ日、人、木や草花を包みこむ空間《山ノウチ》を制作した。作品制作、会期中の作品巡りをとおして私たちは越後妻有の雄大な自然、棚田や川のせせらぎ、移り変わる空の色、澄んだ空気を身体全体から吸収した。そしてたくさんの地域の方々と出会い、年齢の垣根を越えた交流はこの芸術祭で得た宝物である。作品を見ているときだけではなく、車から見える風景や現地の方々による作品の説明、心のこもったおもてなし、現地の食材、このどれもがアートであった。越後妻有にアートが寄り添うことで生み出された空間、その場を包む空気を写真におさめた。

[撮影者:鈴木ますみ+小田切早紀+川倉由子+小岩井彩未+山口莉歩(昭和女子大学生活科学部環境デザイン学科)]
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