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13_シゼンと |
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友人の敏腕トレーダーが都内某所の敷地図を持って私の事務所に訪ねてきた。不動産にも精通する彼はそこに住宅を建て何年か住み、地価が倍増してから売却するとのこと。数年間の心地良い住空間の獲得と不動産投資の2つが大きな動機らしい。
この敷地を分析してみる。山の手の起伏のちょうど谷にあたり、前面道路は以前川であった。役所では浸水の被害の恐れがあるエリアとして指定されており、その可能性の度合いがグラデーションで表現された地図を閲覧すると、今回の敷地はピンポイントで最も濃い青で塗られている。地形図を眺めてみると極々自然な状況であった。 地域全体で浸水の被害を回避する対策が一応はたてられており、敷地内に貯留・浸水・放流調整、等各施設の設置の勧めを受けた。雨水によるインフラの破綻を回避するため、各敷地内での雨水の処理、若しくは雨水の一時的な貯留を促すものである。 元来備えていた自然の原理を軽視し、経済的原理を重視した都市化。両者のなかなか相容れない性質の同居から生まれた破綻がさらに拡大しているように感じられる。 建主からは不動産価値上の理由から地下室を設けるようにとの要望を受けている。地下室への水の侵入を地上に立ち上げた躯体や、各部のディテールで防ぐのが最も妥当な方法である。ひとつの建築の内部にまでこうした問題が及んでいることを実感する。 |
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添田貴之(添田建築アトリエ) | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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