アートの現場から[2]
Dialogue:美術館建築研究[4]

Dialogue[1][2][3]
 
 奈良美智
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 青木淳                      
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▲図1
▲図2
▲図3
▲図4
▲図9
▲図10
▲図15
▲図16
▲図17
 

奈良──これが最初のエントランスで。
青木──こう入ってくるんですか。これなんですか?
奈良──段差ですかね。
青木──ここも作品に使われるわけ?
奈良──そう。で、こういう壁があるんです。
青木──これ壁ですか。
奈良──そうなんです。この曲面の壁を隠すようにフラットな仮設壁をつくります。
青木──まぁ、そうなるか。
奈良──この柱と柱を隠すようにこうします。で、ここの隙間は空けます。これ柱ですね。
青木──この場合は、これは絵ですか。10とか8とか書いてあるのは。
奈良──絵です。
青木──すると、最初がぬいぐるみのコーナーではない?
奈良──できないんですよ。
v──ああ、できなかったから。
奈良──フラットな壁っていうのがないんです。
青木──これでいうと、これが1階で[図1]ここから2階にこう上ってきて[図2]……。
奈良──そうですね。ここが2階で吹き抜けになっているから……[図3]
青木──見下ろせると。
奈良──ここに手摺りがあるんです。で、ここが車椅子用……[図4] もうとにかく難しい。青木──これはどういうものですか。
奈良──この上に上がってこう行くと、こういう風になっているんですね。ここが丸い感じですね。こうくるわけなんですよ[図5]
v──そうすると、ここにこういう長い場所があると。
奈良──でもね、これも平面じゃないんですよ[図6]
青木──ちょっと曲がってそうですよね。僅かに曲がってるか。じゃあこう来てから、こっち来るわけですか。
奈良──そうですね。この真上がちょうどこの辺かな。で、廊下を入ってゆくと、ここにも柱がある[図7]わけですよね。これもちっちゃい扉で [図8]、これはシャッター付きの扉なんです[図9。ここに壁をつけて[図10、ここだけ個室にする。
青木──隠しちゃうわけね。

▲図5 ▲図6
▲図7 ▲図8
奈良──そうですね。で、ここに頭がたくさんさらにくっついているやつを壁につけて、ちっこい頭のやつ上にこうやって。これも利用できるし、いいかなと。で、ここは入れないようにワイヤーを [図11。で、ここにぬいぐるみのやつがくるんですよ。
青木──ああ、ここにくるんだ [図12]。ここに犬がくるのかな[図13
奈良──犬がここ。で、鏡が無いんですよ。
青木──頭の方は無くなっちゃうわけか。
奈良──そうですね。
青木──で、こっちはどうなるの?
奈良──こっちはお皿の方 [図14
▲図11 ▲図12
▲図13 ▲図14
青木──お皿の方か。じゃあ、ここから向こうにあったものは、無くなっちゃうわけだ。
奈良──そうですね。避けられない運命だったんで。
青木──スペースも少し狭いよね。
奈良──狭いです。
青木──で、こっちはもう使わないと[図15
奈良──使わないです。で、堀立小屋[図16。だから堀立小屋が空間の真ん中にこうあるよりも、堀立小屋ができるだけぎりぎりになった方が。
青木──そこに入れちゃうっていう場所の方がね。
奈良──入った方が、ということで。これ大きな犬の後ろのやつですね。あっちではここに鏡がありましたけども。あと会議室みたいなところがあって、下の階でちょっと全然違うところなんですが、この会議室をやっぱりカーペットを剥がして、コンクリートにしてもらって。ここに壁をつくってもらって[図17]
青木──残りの床はそのままなんですか?
奈良──そうですね。で、ここに犬小屋がくるんですけど、これは違う作品に換えるんですが。
青木──この前のはちょっと壁で切ってあったんですよね。
奈良──切っていたというか、通り抜けていたというか。
青木──犬がこっちとこっちという感じですもんね。
奈良──難しいんですよね。
青木──全部が苦労されているのはよく分かるんですが、ここのところは結局何をされるんですか。この一番最初のところは。
奈良──ここは全部絵ですね。
青木──どの絵ですか。
奈良──ここが一番大きい正方形の絵なんですよ[図18]。で、これがあの横からひゅうと出てきている絵ですね [図19]。ここはちっちゃめの絵が2点 [図20]、組み合わせはちょっと分からないんですけど。で、見る人がこうこうこう来て、こっちを見た時に彫刻[図21]、泣いているやつです。
青木──あの【pee】って言うんですか、あれは……。
奈良──おしっこのやつですか。あれはですね、ここら辺かと考えてますね。この奥まったここには黒っぽいのであめ玉みたいのをくわえてる子がきますね。
▲図18 ▲図19
」図20 ▲図21
青木──相当苦労されてますね。
奈良──僕はこの展覧会は、初めて僕の作品を見る人には見てもらいたくないと思うんですよね。
[奈良美智氏さらに図面を取りに行く]

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