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特集:201101 2010-2011年の都市・建築・言葉 アンケート<五十嵐太郎
●A12010年は藤本壮介イヤーであり、石上純也イヤーだった。
藤本は、これまで地方の作品ばかりだったが、初めて東京において《武蔵野美術大学 美術館・図書館》と《Tokyo Apartment》を竣工し、ワタリウム美術館にて個展を開催した。『El croquis』で特集されたことも記憶に新しい。また石上は、8月末から9月中旬までのわずか1カ月のあいだに、資生堂ギャラリーと豊田市美術館の個展をスタートさせ、さらにヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展2010では、作品が崩壊しながらも、金獅子賞を獲得し、議論を巻き起こした「空気のような建築」を瞬間的に出現させた。その後、ギャラリー間の25周年記念展にも参加し、進行中の住宅のプロジェクトを紹介している。
ヴェネツィア・ビエンナーレでは、妹島和世が女性としても、アジア人としても初めて全体のディレクターをつとめ、さらにSANAAがプリツカー賞を受賞したことも忘れがたい。国際的に日本の現代建築が大いに注目された年だったと言えるのではないか。だが、逆に言うと、これ以上日本が注目されることはありうるのか? もしかして、その頂点を迎えようとしているのではないか? ガラパゴス化するか、しないのかが、その分かれ道になるだろう。
ほかには、国立近代美術館にて四半世紀ぶりに開催された建築展「建築はどこにあるの?」、上海万博において建築のデザインによって存在感を示せなかった日本館、一方で2010年の世界デザイン首都だったソウルにおける華々しい建築と都市のプロジェクト、ついに1980年代生まれがメディアにおいて可視化された大阪のU-30展や『ねもは』の創刊など。
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- 『ねもは』/上海万博日本館(Wikipediaより 撮影=凌智 Suzuki)
●A2
順不同で挙げます。例えば、ポンピドゥ・センターで企画される日本の現代建築展、八束はじめが関わる森美術館の建築展、石上純也が行なうロンドンのバービカン・センターの展覧会とテムズ&ハドソンから刊行されるすさまじい作品集、青木淳の青森県立美術館での展覧会、岡本太郎生誕100年祭の各種イヴェント。そして筆者もフォーラム・ジャパン部会として関わっている、秋のUIAの世界大会がどれくらいのインパクトをもたらすことができるのか。
また自分もがんばらないといけないという意味で、2010年11月にスタートさせた「せんだいスクール・オブ・デザイン」。2011年には、1期生、2期生が出るであろうから、地域の活性化につながる成果をだすことをめざしている。