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多層化する私(たち)の共同性に形を与えるためには、建築空間や都市空間をデザインするだけでなく、多層化された情報空間もあわせてデザインしてゆく必要があるだろう。建築空間と情報システムではその手段と実現のされ方が異なるものの、共同性をデザインしコミュニケーションを実現するという目的は共通だ。そして、さまざまな同心円と共同性の多層化は、人類が迎えた新しい事態であり、新しいかたちの共同性をデザインする必要がある。 めいめいの都合によって「多層化する私」を切り替える人々が増えるとともに、時間的にも空間的にも同期的なコミュニケーションが当たり前だった時代から、時間的にも空間的にも非同期のコミュニケーションが増えていくだろう。しかしながら、まったくそれらが入れ替わることはなく、同期と非同期・近接と遠隔が共存した環境と社会になっていくのではないだろうか。それは、これまで建築空間のデザインにとって繋げ・閉じる対象となっていた周囲の環境として、自然や都市空間などのほかに新たに情報空間が現われていると考えることもできるだろう。 [仲隆介+中西泰人+本江正茂] |
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