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79 スイス

スイスの山間部では、太陽はすぐに山の裏側へと隠れてしまうため、日没ははやい。しかし、太陽の位置は高いので、山頂を見るとまだぎらぎらと日が照りつけている、という光景をよく目にした。それまでは麓側からの眺めだったのだが、聖ベネディクト教会を見学し終えた帰り、私はこの光景を初めて山頂側から見て、その独特で美しい光景に不思議な感覚を覚えた。日陰に入り、早々に夕暮れを迎える麓と、残雪が強烈に太陽光を反射し、まだまだ昼間の気配がする山頂付近。そこでは時間帯のずれが狭い範囲で垂直かつ同時に存在していた。私がこれまで経験したような、夜間も騒がしい都市部とすでに眠りについた郊外との間に存在するような水平関係の時間帯のずれとはまったく異なるものであったため、非常に印象に残っている。

今回提供する写真については、2006年12月に10日間程スイスを旅した時に撮影したもののなかから、少数ではあるがこれまでに紹介されていない建築物を選んだ。また、今回提供する写真の撮影は共に旅行をした本間茂樹と私が行なっている。



[撮影者:鐵真孝+本間茂樹(東北大学大学院)]

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