201808

記念空間を考える──長崎、広島、ベルリンから

1945年8月、原子爆弾が投下された広島と長崎には、その後、記念のための空間がつくられました。丹下健三による強力な軸線が設けられた広島平和記念公園。北村西望の巨大な《平和祈念像》など多数の彫刻を擁する長崎の平和公園。震災や戦災など、人類が経験した出来事を想起・記念するために、しばしば建築や彫刻の存在が求められます。いま私たちはこうした記念の空間、建築と彫刻、碑をどのように考え、議論するべきでしょうか。
本特集はその契機となることを企図しています。『彫刻 1』を上梓した彫刻家の小田原のどか氏と、建築史家の戸田穣氏の対談では、訳語における「彫刻」や「建築」の起源や、政体や時局による公共空間での役割の変遷を通して「記念性」をテーマに議論します。また、キュレーターの深沢秀一氏と建築家の大室佑介氏の論考では、記念碑論争が起こったドイツ・ベルリンの記念空間のコンペ案や、完成前後の社会的な議論から論点を示します。[写真=大室佑介]

彫刻と建築の問題──記念性をめぐって

小田原のどか(彫刻家、彫刻研究)+戸田穣(建築史)

ドイツの記念碑と共同想起の現在
──《ホロコースト記念碑》とコンペ案から

深沢秀一(キュレーター/リサーチャー)

記念碑を内包する記念碑
──《ノイエ・ヴァッヘ》の空間と意味の変遷

大室佑介(建築家)

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