建築系ラジオ r4 現代建築を語る・聞く・読む

平田晃久インタヴュー

animated解体 その1

20世紀的建築を乗り越えるキーワード

平田晃久+松田達

2009年3月 2日 南洋堂書店 MP3 9.2MB 13'24''

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平田晃久氏平田晃久氏

写真提供:南洋堂書店
 

平田──3年前にプリズミックギャラリーで初の個人の展覧会をして「animated」というタイトルにしました。そのころはまだ設計を始めて日が浅かったので、みせられるものが少ない。ですから、どういうことを考えているのかということをプレゼンテーションすることにしました。それを膨らましていくことで、その先に行けるのではないかという期待がありました。プロジェクトのパネルはやめて、7つのキーワードをパネルにし、それらを説明する絵と文字で展覧会を構成したんです。そのときに、頭のなかがすっきりしたなと思っていて......その時に考えていたことを発展させてみたいなと思って、今回の本にしたんです。大きくは結構野心的というか、建築を根本的に新しいというか、20世紀的なタイプの建築をどうやったら乗り越えられるかがテーマなんですね。......

出演者プロフィール

平田晃久
1971年生まれ。京都大学大学院修了。平田晃久建築設計事務所代表。京都造形芸術大学、日本大学、東京理科大学非常勤講師。作品=《House H》《House S》《sarugaku》《Showroom H(桝屋本店)》ほか。

村上心インタヴュー

「再生」教育の重要性/ストックの活用

村上心+山田幸司+加藤和雄

2009年3月27日 名古屋市某所 MP3 12.4MB 18'05''

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村上──再生というのは二つに分かれまして、例えば集合住宅から集合住宅、オフィスからオフィス。これをリノベーションといいます。オフィスから集合住宅など、機能がかわるのはコンバージョン。......実はイギリスやフランス、アメリカに行ったらわかりますが、建築家の仕事はほとんどリノベーションなんですよ。ニューヨークでは超高層をどうやってリノベーションするか。ロンドンもそうです。統計を取ってみますと、主要先進国の建築工事は、40〜60%は再生の工事なんです。半分は再生工事なんですね。当然ですけど、そういう国は再生をどうしたらいいかという教育を建築学科でやっている。ですが日本では新築しかやってない。......"

出演者プロフィール

村上心
1960年生まれ。椙山女学園大学生活科学部生活環境デザイン学科教授。博士(工学)。1985年東京大学工学部建築学科卒業。1992年同大学工学系研究科博士課程満了。1997年蘭・デルフト工科大学OBOM研究所客員研究員。

岩佐明彦インタヴュー

内部化する郊外をめぐって

ニュータウン、ロードサイド、地方都市

岩佐明彦+松田達

2009年2月28日 新潟市内のカフェにて MP3 12.6MB 18'21''

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松田達+岩佐明彦氏
岩佐──建築計画などで計画的につくられた環境が将来どうなっていくのかということに興味があります。大学院のころ、秋田県の八郎潟を研究しました。日本で一番大きい干拓事業が行われていて、もともとなにもなかったところに、大潟村という新しい集落ができたという場所なんです。干拓事業があったのは都市計画の華やかかりしころで、計画的にまちがつくれるじゃないかという夢がありました。大潟村は当時の計画的な方法が全部盛り込まれたような場所でした。[僕が大学院のころは、]できあがってちょうど30年くらいたっていたころで、どういう環境になっているのかというのを調べたというのが最初です。......"

出演者プロフィール

岩佐明彦
1970年生まれ。1994年東京大学工学部建築卒業。2000年同工学系研究科建築学専攻博士修了。2003年より新潟大学工学部建設学科准教授。

建築家インタヴューシリーズ第2回 阿部仁史

ナオミ・ポロック『HITOSHI ABE』をめぐって その4

建築の日本らしさとは何なのか?

阿部仁史+ナオミ・ポロック+堀口徹+五十嵐太郎+今村創平+松田達

2009年3月14日 南洋堂書店 MP3 15MB 21'50''

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阿部仁史氏+ナオミ・ポロック氏+松田達阿部仁史氏
阿部──日本の事務所と往ったり来たりしていたんですけど、コンペなんかは自分の手元でやった方がやりやすいし、いろんなコミュニケーションを取るのに事務所があった方がいいと思って、[ロスの]自分の家の裏のボロボロだったガレージを直して、スタッフを一人雇ったんですね。それでコンペをやったら、とれちゃって。それであわててチームをつくって、いま4、5人がこのガレージの中に詰まっています(笑)。イタリア系カナダ人、パナマ系中国人、日系人、アメリカ人、オーストラリア人。しかもほとんど女性。そうすると、仕事の仕方というかコミュニケーションの仕方も自ずと違うんですね。会話ベースで、任せながら一緒にやっていくというような感じなんですね。"

出演者プロフィール

阿部仁史
1962年宮城県生まれ。東北大学卒業。1992年までコープ・ヒンメルブラウンのアトリエに勤務。2007年よりUCLA建築・都市デザイン学科学科長。1992年阿部仁史アトリエ設立。作品に《宮城スタジアム》《熊本県苓北町民ホール》ほか。

槻橋修インタヴュー

建築ノートという試みと、その最新号について

槻橋修

2009年3月13日 座・高円寺近辺某所 MP3 16MB 23'16''

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槻橋──「ラウンド・リーディング」は、通常の本では書評コーナーになるところを読書会というイベントにしています。単に評者が批評するだけじゃなくて、批評をディスカッションにしたい......みんなで知識を共有するということを前提にページをつくりたいと思っています。今回の収録は公開だったわけです。「座・高円寺」の二階に新しくできるカフェスペースを使わせていただきました。......今までは大学の研究室や《せんだいメディアテーク》の一階のカフェや、いろんなところでやってきましたが、今回はさすがに新しくできる劇場だけあって、照明、音声、映像などの技術系のスタッフの方に協力していただいて、イベントとしても完成度の高いものになったと思います。また、建築系から3名、人文系から3名に来ていただいて、異種格闘技的な会になったので、非常に話題が広がったと思いました。......"

出演者プロフィール

槻橋修
1968年富山県生まれ。1991年京都大学工学部建築学科卒業。1998年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程単位取得後退学。2002年ティーハウス建築設計事務所設立。2003年より東北工業大学工学部建築学科講師。
http://www.teehouse.com/
http://www.cybermetric.org/luna/lycanthropic_talk.html

菊地宏インタヴュー

《大泉の家》について(後半)

ヴォリュームへの愛着

菊地宏+松田達

2009年3月 2日 南洋堂書店 MP3 10.6MB 15'22''

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*中、右の写真をクリックするとカラーで全体が表示されます
 

松田──日本で住宅を建てるときには、明るいか暗いかという線形の軸上にあるような気がするのですが、菊地さんの場合は壁の色が多様で、明るさを問わない空間じゃないかなと思ったんですね。明るさが横に広がるというか、二つ目のベクトルで明るさを定義しているのではないかと......。ひとつの空間から違う空間に行くときに、空間の転換の起こる場所がくの字の階段であって、そのつなぎ方が印象的だと思いました。
菊地──ギゴン・アンド・ゴヤーの《ヴィンタートゥーア美術館》の、拡張部分ではなくて既存部分のところで、展示室から展示室へ行くときに変な空間が毎回挿入されているんです。回りくどい暗い廊下のようなものがあったり。あれが相当僕のなかでは驚きでした。空間を演出するときに、ひとつの空間で考えるのではなくて、二つの空間の差違で空間をつくっていく方が、設計のしかたとしては楽しい。ひとつのことに対して何か回答を求めるのはつらいんだけど、二つのものを仮定すると、その力関係で、空間の抑揚をつけたり、状態をコントロールしたりできるんですね。......

出演者プロフィール

菊地宏
1972年東京生まれ。1996年東京理科大学工学部第一部建築学科卒業。1998年同大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了。1998-1999年妹島和世建築設計事務所勤務。2000-2004年ヘルツォーク&ド・ムーロン建築事務所勤務。2004年菊地宏建築設計事務所設立。作品に《南洋堂書店改修》《LUZ STORE》ほか。
http://www.hiroshikikuchi.com/

建築家インタヴューシリーズ第2回 阿部仁史

ナオミ・ポロック『HITOSHI ABE』をめぐって その3

日本建築とは?

阿部仁史+ナオミ・ポロック+堀口徹+五十嵐太郎+今村創平+松田達

2009年3月14日 南洋堂書店 MP3 13.5MB 19'43''

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今村創平氏+阿部仁史氏+ナオミ・ポロック氏
阿部──もともと僕は動く建築が好きで......90年代の頭にフィリップ・ジョンソンが新建築のコンペをやっていて、僕も出しているんです。ジョンソンのガラスの家が次の世代にどうなるかというコンペで、僕が出したのは「振る」というテーマだったんですね。振ることによって、ガラスの家がどういう構造になって、どういう形になっていくか。おもしろかったのが、動くことによって、ドアもかわっちゃうんですよね。早く振るとバッテンにみえるじゃないですか。造形が連続して変わっていくんですね。それが面白かったんです。ひとつのジオメトリがひとつの操作を加えていくとまた違う形を生み出していって、それがひとつの連続した論理のシークエンスを生み出していく。......"

出演者プロフィール

阿部仁史
1962年宮城県生まれ。東北大学卒業。1992年までコープ・ヒンメルブラウンのアトリエに勤務。2007年よりUCLA建築・都市デザイン学科学科長。1992年阿部仁史アトリエ設立。作品に《宮城スタジアム》《熊本県苓北町民ホール》ほか。

謝宗哲インタヴュー

台湾の五十嵐太郎、謝宗哲に聞く

台湾最新建築情況

謝宗哲

2009年3月27日 台湾高速鉄道内にて MP3 17.0MB 24'45''

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謝宗哲氏 高雄の街並み。背後に見えるのが李祖原《高雄85ビル》 伊東豊雄《高雄スタジアム》

1──謝宗哲氏2──高雄の街並み。背後に見えるのが李祖原《高雄85ビル》3──伊東豊雄《高雄スタジアム》*2、 3をクリックするとカラーで全体が表示されます
 

謝──簡単に台湾の建築・都市を喩えると、台北は日本の首都東京に相当します。高雄は人情深い情熱の都市で、大阪みたいな場所。僕の地元の台南は高雄に近くて京都みたいなところです。そして先ほど美術館を見た台中は名古屋のような存在です。......建築は、やはり首都なので台北に集中していて、ここはモダン建築が多い。最近は日本の建築家も台湾で活躍していて、例えば伊東豊雄さんは台中のオペラハウスのコンペを勝って、高雄のスタジアムも勝ちました。......また、台南は古い都市で古い建物がいっぱいあります。日本時代に建てられた洋館建築も楽しめます。高雄は工業都市ですごく整然とした街並みです。最近は超高層がたくさん建てられています。台中も新しい都市です。最近は特にオペラハウス周辺の値が上がって、超高層が建てられています。

出演者プロフィール

謝宗哲
2000年台湾成功大学建築学修士課程終了。2003年台湾東海大学大学院建築設計専攻修士課程単位取得退学。2007年東京大学大学院建築学専攻博士課程修了。現在、台湾 亜洲大学、東海大学勤務。

菊地宏インタヴュー

《大泉の家》について(前半)──色と形態

菊地宏+松田達

2009年3月 2日 南洋堂書店 MP3 11.5MB 25'03''

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菊地宏氏 菊地宏氏+松田達 《大泉の家》
松田──僕の第一印象なんですが、あっこれ日本の建築では、なかなか見ないなと......それで中に入ったら、色がすごく鮮やかで、特に色の使い方がヨーロッパ的で。もちろん菊地さんが向こうに行っていたということも関係するんでしょうけども......
菊地──向こうの影響がそうとう強いというのは確かですね。ただ、昨今そういう傾向がヨーロッパにあって、その影響を受けているというよりは、向こうで伝統的に行なわれていることを普通にやっているというくらいの話で、なにかすごく意気込んでやっているというわけでもないですね。
松田──プランと色が対応していると思うんですが。
菊地──色は正直感じてもらえればそれでいいのですが、設計者としては、いろいろとルールがあります。だいたい、色と方角にルールがあって......

出演者プロフィール

菊地宏
1972年東京生まれ。1996年東京理科大学工学部第一部建築学科卒業。1998年同大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了。1998-1999年妹島和世建築設計事務所勤務。2000-2004年ヘルツォーク&ド・ムーロン建築事務所勤務。2004年菊地宏建築設計事務所設立。作品に《南洋堂書店改修》《LUZ STORE》ほか。
http://www.hiroshikikuchi.com/

アジュマン科学技術大学インタヴュー

日本と世界を結ぶ架け橋に

国広ジョージ+Emad S.Mushtaha+Jihad Awad+Mohammad Arar+南泰裕

2009年3月12日 アジュマン科学技術大学(アラブ首長国連邦) MP3 4.4MB 9'29''

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収録風景

*クリックするとカラーで全体が表示されます
 

国広──去年このアジュマン大学で国際会議があって、ハンス・ホラインやレム・コールハースが来ていましたが、そんななかで、このような交流関係を築くことができました。......特にいまのイスラム、モスレムの文化を日本の学生さんたちにわかってもらいたい。メディアで見られているようなテロとか、そういうことではなくて、本当の友情関係とか、平和主義をこういうところで体験してもらって、建築家として育っていく学生さんたちが、誰をクライアントにしてもすばらしい建築をそこでつくっていけるように......そのためにこういう交流の場があると思っています。......

出演者プロフィール

国広ジョージ
国士舘大学工学部建築デザイン工学科教授 http://www.eg.kokushikan.ac.jp/eng/kunihiro/home.shtml
1951年東京生まれ(米国籍)。1964年渡米。1974年、カリフォルニア大学バークレー校環境デザイン学部を経て、1976年ハーバード大学大学院デザイン学部建築学科修士修了。アメリカで建築家として活動した後、1997年で設計活動を開始。日本建築家協会(JIA)、日本建築学会(AIJ)、アジア近代建築ネットワーク(mAAN)などでも広く活動。主な作品に《田無市消防団第7分団詰所》《グランブルー青山ビル》など。

Emad S. Mushtaha, Dr.Eng
Faculty of Eng., Dept. of Architecture
Ajman University of Science and Technology

Assist. Prof. Jihad Awad Ph.D
Faculty of Eng., Dept. of Architecture
Ajman University of Science and Technology

Mohammad Arar, Dr.Eng
Faculty of Eng., Head of Architectural Dept.
Ajman University of Science and Technology
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About r4

建築についてのさまざまな話題を音声番組として全国配信する「建築系ラジオ/ r4」。音声が持つ可能性とネットのアーカイブ性を組み合わせた、新しい建築メディアの試みです。「r4」は、パイロット版を経て、4人のコアメンバー が4つの"r"をキーワードとしてあげることから名付けられました。建築家への インタヴューの他、学生を交えた連載番組や、公開討議など、多彩な構成 で、建築について語ります。

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