建築系ラジオ r4 現代建築を語る・聞く・読む

著者による本紹介

『アトラス──新しい建築の見取り図』(彰国社)

橋本憲一郎+松田達

2008年12月25日 東京大学生産技術研究所 MP3 9.7MB 21'13''

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『アトラス──新しい建築の見取り図』
橋本──これは説明が難しい本なのですが、近頃珍しい建築の理論書といわれているようです。建築や建築以外のものをつくる人たちのための教科書として、よく採用されていると聞いています。入門書としてはちょっときついかもしれない。少しつくることをはじめた人が読むと、なっとくできるところが多いかもしれません。読んでいくとだんだん視野が開けていく。
松田──ロッシからコールハースに引かれたライン上に、この本が位置づけられようとしているのではないかと思います。ただ、そのどこに位置づけられるのか分からない。
橋本──コールハースは演繹的な展開を起こすようなものの言い方をしない人だとぼくは感じていて、だから二点間をつなぐような線を引けるわけでない。人の想像力のツボを押していっている。それに触発されて、この本が出てきたと考えています。"

出演者プロフィール

出演者プロフィール

橋本憲一郎
建築家。建築・都市計画学。1968年愛知県生まれ。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了。1998年橋本憲一郎建築設計事務所設立。2003年より東京大学生産技術研究所助手。
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山本──[デベロッパーが住宅を供給する]相手は住人じゃなくて投資家ですよね。そういった、住宅を投資の対象として考えた20世紀の経済そのものが、今回のサブプライム問題で大破綻をしたんだという気がするんですね。その最初のもとをつくったのが、20年代の建築家たちの集合住宅だったわけです。西川祐子さんだったと思うのですが、「集合住宅は20世紀の悪夢だった」と。それはそうだと思うんですよね。一住宅一家族というシステムは、経済を高度成長させるには非常に有効な商品だったけれども、われわれが本当に豊かに生活していくために、あれでよかったのかなと。そこをもう一度考える必要があると思うんですよね。"

出演者プロフィール

山本理顕
山本理顕設計工場主宰/横浜国立大学教授
1945年生まれ。日本大学卒業。東京藝術大学大学院修了。著書に『新編住居論』『建築をつくることは未来をつくることである』ほか。作品に《横須賀市美術館》ほか。
http://www.riken-yamamoto.co.jp/

著者たちの語る

『建築学生のハローワーク』(彰国社)

五十嵐太郎+大西正紀+倉方俊輔+真壁智治+松田達+高木伸哉+平塚桂+ 長島恵美子+新井正晃+貝塚高士+田中元子+神中智子

2009年1月16日 過去にURBOTが位置した場所にある居酒屋にて MP3 7.4MB 16'10''

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『建築学生のハローワーク』
五十嵐──大学の就職担当で学生としゃべっているときに、こういう本があったらいいなと思ったことを神中さんに伝えて本になりました。みんなが建築家になるわけではなくて、無尽蔵の生き方があるということを一冊の本にしたいと......。
神中──一年半くらい前に五十嵐さんからアイディアをいただいて、ようやくこうして本になりました。つくるだけじゃなくて、企画・運用するというところも、分かりやすく本として立体的にみえるようにということを心がけて編集しました。最後にぽむ企画のたかぎみ江さんに頑張っていただいて、イラストと漫画で本を味付けしてもらいました。いいスパイスになったと思っています。

中山英之インタヴュー

絵に描いた空間(後半)

中山英之+松田達

2008年11月 9日 collabon(コラボン) MP3 11.1MB 24'15''

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現在計画中の別荘 現在計画中の別荘 六花亭 Tea house Competition 一等案

1、 2──現在計画中の別荘3──六花亭 Tea house Competition 一等案
*クリックするとカラーで全体が表示されます
 

松田──いわゆる全体から部分へ、部分から全体へという、ボトムアップという話だけではないような気がします。
中山──自分が決めたことと決められなかったことの配分って、決められなかったことの方が圧倒的に多いわけです。例えばゆるやかな砂丘があった場合、影があれば砂漠のうねりがよく見えるけど、太陽が真上からあたっていたら、砂漠の形ってわからないですよね。カメラでバシャッと写真を撮っても形がわからない。でもそこに形ってちゃんとあって、ある形をプレゼンテーションしなさいっていう風に、建築っていわれてる気がするんですよね。その形を分からせる方法っていろいろあると思うんですけど......

出演者プロフィール

中山英之
1972年福岡県生まれ。建築家。1998年東京藝術大学建築学科卒業。1984年同大学建築科大学院修了。2000年より伊東豊雄建築設計事務所に勤務。2004年には住宅〈2004〉でSD Review鹿島賞受賞。2007年、同作で第23回吉岡賞受賞。同年より中山英之建築設計事務所を主宰。
http://www.hideyukinakayama.com/
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山本理顕氏+松田達山本理顕氏山本理顕氏+松田達
山本──エマニュエル・トッドの『新ヨーロッパ大全』という本があるんですけどね。ヨーロッパ全体を国単位じゃなくて、すごく細かい単位で分割していくと、さまざまな文化的な特質が見えてくるんです。平等原理と権威原理で調べていって、家族の類型を、絶対核家族、平等核家族、直系家族、共同体家族という4つに分けるの。それが面白いのは、なぜ日本とドイツが国家主義になったのか? なぜフランス革命が平等核家族から生まれたのか? 共産主義がどこで受け入れられたか? ということが全部書いてあるからなんです。家族構成によって、人間がある価値観を埋め込まれて、それで社会が動いた、ということを言った人なんですよ。それからハンナ・アーレントの『人間の条件』には、なぜ建築家がこんなに虐げられているのかということが書いてあるんです。人間の活動は労働と仕事に分かれていて、労働というのは......

出演者プロフィール

山本理顕
山本理顕設計工場主宰/横浜国立大学教授
1945年生まれ。日本大学卒業。東京藝術大学大学院修了。著書に『新編住居論』『建築をつくることは未来をつくることである』ほか。作品に《横須賀市美術館》ほか。
http://www.riken-yamamoto.co.jp/

木村浩之インタヴュー

『都市へ仕掛ける建築 ディーナー&ディーナーの試み』

 を通して

木村浩之+野村しのぶ+樫原徹+松田達

2009年1月23日 東京オペラシティアートギャラリー MP3 7.7MB 16'54''

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会場風景 会場風景 会場風景

(c)H.KIMURA/DIENER&DIENER *クリックするとカラーで拡大表示されます


窓からの眺めも、私の部屋の一部なのでしょうか?
  私たちの思い出も、建物や街並みの一部となっていくのでしょうか?

木村──建築家の仕事の仕方、あるいは批評家の建築界の中でのポジションということを考えるわけではなく、むしろ一般の人たちが街ってなんだろう? ホームタウンって何だろう? 自分の部屋って何だろう?ということを考えてもらえる機会になれば、むしろそちらの方が必要で......
野村──この展覧会を見て、「ああもう、やっぱりいいよね、でも所詮ヨーロッパの話じゃん」で終わってしまう人もいると思うし、積極的になれない人ってそこで終わってしまうと思うんです。だけど、それを乗り越えていってほしいですよね。

出演者プロフィール

木村浩之
1971年北海道生まれ。1997-98年スイス連邦工科大学留学、1999年東京大学大学院修了。1999年よりDiener & Diener Architekten(スイス・バーゼル)勤務
野村しのぶ
東京オペラシティアートギャラリー キュレーター
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About r4

建築についてのさまざまな話題を音声番組として全国配信する「建築系ラジオ/ r4」。音声が持つ可能性とネットのアーカイブ性を組み合わせた、新しい建築メディアの試みです。「r4」は、パイロット版を経て、4人のコアメンバー が4つの"r"をキーワードとしてあげることから名付けられました。建築家への インタヴューの他、学生を交えた連載番組や、公開討議など、多彩な構成 で、建築について語ります。

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