建築系ラジオ r4 現代建築を語る・聞く・読む

村上心インタヴュー

「再生」教育の重要性/ストックの活用

村上心+山田幸司+加藤和雄

2009年3月27日 名古屋市某所 MP3 12.4MB 18'05''

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村上──再生というのは二つに分かれまして、例えば集合住宅から集合住宅、オフィスからオフィス。これをリノベーションといいます。オフィスから集合住宅など、機能がかわるのはコンバージョン。......実はイギリスやフランス、アメリカに行ったらわかりますが、建築家の仕事はほとんどリノベーションなんですよ。ニューヨークでは超高層をどうやってリノベーションするか。ロンドンもそうです。統計を取ってみますと、主要先進国の建築工事は、40〜60%は再生の工事なんです。半分は再生工事なんですね。当然ですけど、そういう国は再生をどうしたらいいかという教育を建築学科でやっている。ですが日本では新築しかやってない。......"

出演者プロフィール

村上心
1960年生まれ。椙山女学園大学生活科学部生活環境デザイン学科教授。博士(工学)。1985年東京大学工学部建築学科卒業。1992年同大学工学系研究科博士課程満了。1997年蘭・デルフト工科大学OBOM研究所客員研究員。
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山田幸司山田幸司山田幸司+南泰裕+松田達
山田──僕の場合は大学院に行くというイメージをまったく持っていなくて、卒業したらとにかく早く設計事務所に行って経験を積んで一人前の建築家になりたいと思っていました。歴史などは明確な学問ですが、設計はやはり職能である部分が非常に大きい。......本で勉強する知識では限界があるんですよ。現場に行って実際に見ると、本に書いていない解決法を思いついたり、新しいデザインの可能性というのを生む切っ掛けになるんですね。......"

ダイハード・ポストモダン 五十嵐淳インタヴュー

安藤忠雄について

五十嵐淳+山田幸司+五十嵐太郎+脇坂圭一+佐藤敏宏+鈴木茜

2008年12月 2日 仙台某所 MP3 6.6MB 14'18''

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五十嵐淳氏+五十嵐太郎
五十嵐淳──いまにして思うと、なぜ安藤さんに惹かれたのかということをそれから客観的に考えるようになってきて、密室性というものを、どうも僕が好きだと言うことが分かってきて。密室的な空間に見えるんですよ。開口があるんですけど、開口ではないんですね。もう一つ僕は、同時に篠原一男さんにも強烈に惹かれることになって、篠原さんの写真も後からよく見ると、開口という概念で写真を撮ってないものがほとんどで、わざと窓を外して、でもこちらから光が差し込んでいるんだけど、窓を映したくないみたいな写真の撮り方をしている......

出演者プロフィール

五十嵐淳
1970年北海道生まれ。1991年〜1995年BEN建築設計事務所勤務。1997年五十嵐淳建築設計設立。
http://jun-igarashi.web.infoseek.co.jp/

全体討議 建築国際展とは何か4

Visions of Japan

山田幸司

2008年12月 7日 モンスーンカフェ代官山 MP3 9.8MB 21'20''

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Visions of Japanは1991年にロンドンで行なわれた日本展です。建築はもちろん相撲や歌舞伎など、あらゆる日本の芸能が展示されていました。建築に関しては磯崎新さんがジェネラル・コミッショナーを担当し、彼が選んだ建築家「3I」が参加しました。石井和紘、石山修武、伊東豊雄の3人です。バブル期の寵児だった3人が、それぞれ「過去」「現在」「未来」というテーマで日本を外国に紹介するという展示でした。「未来」を表現した伊東さんの展示は、率直に言って、当時は何がやりたいのかよくわからなかった。しかし現在、当時のセットを見ると、彼の孫弟子にあたる石上純也のデザインを、すでに伊東さんがやっていたということに気づかされます。非常に象徴的な展示です。"

ダイハード・ポストモダン 林要次 インタヴュー

フランスのポストモダン

林要次+山田幸司+松田達

2008年10月20日 MP3 8.8MB 19'19''

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林要次氏
ポストモダンという思想はフランス発生といわれています。フランスには、1920年代からアール・デコという運動が広がっていて、これがフランスのポストモダンにあたります。そうとらえると、1920年代からフランスはポストモダンが起こっていたと考えられるのではないでしょうか。この流れは現代のフランス人建築家(ジャン・ヌーベルやドミニク・ペロー)にも大きな影響を与えています。昨今、パリ郊外は超高層化が進んでいて、ファサードのデザインなどが注目されていますが、ここにもアール・デコ的な模様や文様が脈々と受け継がれています。

出演者プロフィール

林要次
横浜国立大学大学院修了後、渡仏。ヴェルサイユ建築大学DPLGコース在籍、パリ第VIII大学DEA"建築・都市建設"コース修了後、帰国。北川原温建築都市研究所にて建築設計からインテリア、舞台美術、モニュメント、ブック・デザインなどを担当。東京藝術大学大学院教育研究助手を経て、再渡仏。du Besset Lyon architectes協働。2008年よりyoji hayashi+a.d.s.共同主宰。
http://www.auxads.com/

卒業設計シリーズ3(名古屋)

卒業設計へ期待すること

吉村靖孝+山崎亮+藤村龍至+五十嵐太郎+山田幸司

2009年3月23日 名古屋市立大学北千種キャンパス MP3 13.1MB 19'04''

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山田──僕は見ていて、かたちが無くて大丈夫かなと思いました。......かたちがないというのは、今年の傾向として全国的にもそうですか?
五十嵐──......仙台なんかでは今年の審査員の構成が、妹島さん、梅林さん、平田さんと、かたちから選んでいくタイプの審査員が多かったせいもあって、卒計日本一のファイナルの時に、全然社会的なテーマが扱われていないじゃないかと会場から声が上がっていました。......

全体討議 建築書2

本の読み方・本を読むこと・建築を見ること

村上心+五十嵐太郎+南泰裕+山田幸司+松田達+学生の皆さん

2009年5月 9日 椙山女学園大学 MP3 15.6MB 22'40''

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松田──五十嵐さんはどれくらいの速度で本を読んでるのですか。速読術とかあるのですか?
五十嵐──初心者にはできないと思うんですが、本を読めば読むほどスピードは上がるはずです。逆に言うと、僕も建築の本を読み始めたころは苦痛で苦痛でたまらなくて、時間がかかっていました。ナナメ読みに近いのですが、僕の場合は、まず目次をみます。目次には建築でいうところのストラクチャーが載っているんです。どういうフレームワークで話が進むかということが、完結に書かれている。......次にあとがきを読みます。これは研究書に近いものについてですが、あとがきには、自分がそもそもどういう意図でこの本を書いて、どういう位置づけにあってということがコンパクトに書かれていることが多いです。......

出演者プロフィール

村上心
1960年生まれ。椙山女学園大学生活科学部生活環境デザイン学科教授。博士(工学)。1985年東京大学工学部建築学科卒業。1992年同大学工学系研究科博士課程満了。1997年蘭・デルフト工科大学OBOM研究所客員研究員。

卒業設計シリーズ2(名古屋)

卒計展のイメージ

吉村靖孝+山崎亮+藤村龍至+五十嵐太郎+山田幸司

2009年3月23日 名古屋市立大学北千種キャンパス MP3 13.1MB 19'01''

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講評会の様子 収録の様子
山崎──フリースペースというかオープンスペースというか、ユニバーサルスペースとまでは言わないのだけれども、若干の癖付けだけしておいて、あとはどうとでも使えますよ、みたいな建築の計画が多いなと思っていたのがここ数年のイメージです。......建築でなんとなく空間みたいなのを作ってきたのが、10年 20年たつと、「やっぱり、あのままではだめだったんじゃないか」となるのか、ならないのか興味があるところです。......

出演者プロフィール

吉村靖孝
1972年愛知県生まれ。1997年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了、2002年同大学大学院理工学研究科博士後期課程満期退学。吉村靖孝建築設計事務所代表取締役、関東学院大学・早稲田大学芸術学校非常勤講師。
http://www.ysmr.com/

山崎亮
1973年生まれ。1999年大阪府立大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了。2006年より東京大学大学院工学系研究科博士課程都市工学専攻在籍。京都造形芸術大学、京都市立芸術大学、近畿大学、大阪工業技術専門学校講師。studio-L代表。共著に『震災のためにデザインは何が可能か』『マゾヒスティックランドスケープ』『都市環境デザインの仕事』など。
http://www.studio-l.org/

藤村龍至
1976年生まれ。建築家。東京工業大学大学院博士課程単位取得退学。現在、藤村龍至建築設計事務所主宰。東京理科大学、首都大学東京、日本女子大学非常勤講師。PROJECT ROUNDABOUT共同主宰。作品=《BUILDING K》《UTSUWA》など。編著=『1995年以後──次世代建築家の語る現代の都市と建築』など。
http://www.ryujifujimura.jp/
http://www.round-about.org/

全体討議 建築書1

建築の基本図書

村上心+五十嵐太郎+南泰裕+山田幸司+松田達

2009年5月 9日 椙山女学園大学 MP3 13.5MB 19'36''

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五十嵐──建築系の学生にどれか1冊と言われたら、ル・コルビュジエ『建築をめざして』がいいと思います。理由はシンプルで、読んだら元気になる。ポジティヴで前向きになれます。実際この本はものすごい感化力があって......例えばイタリアだとテラーニがこれを読んで覚醒して、アメリカではバックミンスター・フラーが感動して、南アメリカではオスカー・ニーマイヤーが影響を受けている。日本人でもこれを読んでフランスに行ったりと、いろんな人に影響を与えている。実際に建築を見ることがなくても、考え方をあざやかに示している。......

推薦図書

村上心
・『Readings:1 建築の書物/都市の書物』INAX出版、1999
・ケネス・フランプトン『テクトニック・カルチャー』
 TOTO出版、2002
・『建築家──職能の歴史』日経マグロウヒル社、1981

五十嵐太郎
・ル・コルビュジエ『建築をめざして』鹿島出版会、1967
・R・ヴェンチューリ『建築の多様性と対立性』鹿島出版会、1982
・ケネス・フランプトン『現代建築史』青土社、2003

南泰裕
・原広司『空間〈機能から様相へ〉』岩波書店、1987
・レム・コールハース『錯乱のニューヨーク』鈴木圭介訳、筑摩書房、1995
・ルイス・カーン『ルイス・カーン建築論集』
 前田忠直編訳、鹿島出版会、2008

 >> 南泰裕 推薦図書 30冊 >>

山田幸司
・アレクサンドラ・ティン
 『ビギニングス──ルイス・カーンの人と建築』丸善、1986
・瀬尾文彰『意味の環境論──人間活性化の舞台としての都市へ』
 彰国社、1981
・ブルーノ・ゼヴィ『空間としての建築』鹿島出版会、1977

松田達
・スタニスラウス・フォン・モース『ル・コルビュジエの生涯』
 彰国社、1981
・アルド・ロッシ『都市の建築』大龍堂書店、1991
・『新建築臨時増刊 建築20世紀 4人の建築家が問う1990年代』
 新建築社、2001

出演者プロフィール

村上心
1960年生まれ。椙山女学園大学生活科学部生活環境デザイン学科教授。博士(工学)。1985年東京大学工学部建築学科卒業。1992年同大学工学系研究科博士課程満了。1997年蘭・デルフト工科大学OBOM研究所客員研究員。

OMA《台北パフォーミング・アーツ・センター》レヴュー

アジア国際コンペの現在

五十嵐太郎+南泰裕+山田幸司+入江徹+松田達

2009年3月29日 台北市立美術館 MP3 11.7MB 16'59''

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収録風景 OMA《台北パフォーミング・アーツ・センター》模型

*右の写真をクリックするとカラーで全体が表示されます
 

南──......ちょうど近代化の途上にいると考えられている台湾と、現代建築の交差点であるひとつのコンペとして、非常に興味深いなと思います。 五十嵐──例えばソウルであれば、コールハース、マリオ・ボッタ、ジャン・ヌーベルのやった美術館があって、台北もこれが完成すればOMAの作品があることになる。じゃあ、東京は大丈夫か。東京の方が圧倒的に知名度はあけれど、この10年、いや20年、東京でこういうおもしろい国際コンペはないんじゃないかとあらためて思いました。......伊東豊雄さんの大きなパブリックな建築もないし、逆に心配になりました。

出演者プロフィール

入江徹
1974年生まれ。横浜国立大学大学院修了。琉球大学准教授。

加藤和雄インタヴュー

インテリアデザイナーを目指す学生に向けて

加藤和雄+村上心+山田幸司

2009年2月27日 名古屋市某所 MP3 15.5MB 22'35''

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収録の様子 収録の様子 収録の様子
村上──1/1のデザイン、夕日の迫力。それらについて加藤さんに語っていただきたいと思います。
加藤──1/1のリアリティ。1/1の人間関係、伊予の世界、1/1の空間的な世界、1/1の心の世界、先ほど話した「用・形・意」。僕らが接する空間というのは1/1の空間に接するわけです。どれだけ計画しても1/500、1/1,000で図面を書こうが、結局僕らが出会うのは1分の1の空間なんですよね......

出演者プロフィール

加藤和雄
建築家・デザイナー。加藤和雄/状況空間研究所 所長。名古屋工業大学、椙山女学園大学非常勤講師。

村上心
1960年生まれ。椙山女学園大学生活科学部生活環境デザイン学科教授。博士(工学)。1985年東京大学工学部建築学科卒業。1992年同大学工学系研究科博士課程満了。1997年蘭・デルフト工科大学OBOM研究所客員研究員。

吉村靖孝インタヴュー

建築と法規

吉村靖孝+山崎亮+北川啓介+山田幸司

2009年3月23日 名古屋市内某所 MP3 19.6MB 28'34''

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収録の様子
北川──合法性とか、違法性とか法律というのはすべてが正しいわけではないし、違法性が文化を生む多々ありますよね。法とは最低限のモラルではないかと思うのですが、吉村さんは超合法建築図鑑という本を出されているので、法と建築についてお話ししていただければと思います。
吉村──超合法建築図鑑とは、町並み観察のひとつの方法として書いた本です。町の中で法規を守ったが故に、むしろ町並みから少し浮いてしまった建築をコレクションして一冊の本を作りました。今、法がモラルという話が出ましたけれども、法とモラルは少し違うと思うんですよね......

出演者プロフィール

吉村靖孝
1972年愛知県生まれ。1997年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了、2002年同大学大学院理工学研究科博士後期課程満期退学。吉村靖孝建築設計事務所代表取締役、関東学院大学・早稲田大学芸術学校非常勤講師。
http://www.ysmr.com/

北川啓介
1974年名古屋市生まれ。1996年名古屋工業大学卒業。1999年ライザー+ウメモト事務所。2001年同大学院修了、博士(工学)。名古屋工業大学大学院工学研究科准教授。共著に『ハイパーサーフェスのデザインと技術』など。受賞に日本建築学会東海賞(論文)など。マンガ喫茶、出会いカフェ、コスプレをこよなく愛して国の会議でも奨励する発言をする。 http://www.kitalab.jp/

山崎亮
1973年生まれ。1999年大阪府立大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了。2006年より東京大学大学院工学系研究科博士課程都市工学専攻在籍。京都造形芸術大学、京都市立芸術大学、近畿大学、大阪工業技術専門学校講師。studio-L代表。共著に『震災のためにデザインは何が可能か』『マゾヒスティックランドスケープ』『都市環境デザインの仕事』など。
http://www.studio-l.org/
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山田幸司 山田幸司
山田──......これは『日本の建築家2 石井和紘 ジャズィな手法』という本ですけれども、まさに1985年。「2」というかぎりはほかにもあるわけで、内井昭蔵、石井和紘、六角鬼丈、大江宏、出江寛、安藤忠雄、毛綱毅曠とビッグネームばかり。安藤さんはまだ6番目に出てくるような人だったのですね。いかに石井さんに勢いがあったかということです。

全体討議 東京論──新しい地形としての東京1

東京論の系譜/新しい東京の地形に向かって

南泰裕+南研究室+新井正晃(UPLINK)+石川初+山中新太郎+山田幸司+松田達

2009年8月13日 渋谷のアップリンク内カフェ「タベラ」 MP3 13.6MB 19'51''

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南──今回は3つの大学(昭和女子大学・日本大学・国士舘大学)で学生といっしょにフィールドワークを行ないました。それをまとめるかたちで、建築学会の学会誌『建築雑誌』10月号に内容が掲載されます。今日は参加した学生のみなさんにもコメントをもらいたいと思っています。
岸(国士舘大学南研究室)──僕たちの研究室では、渋谷のスクランブル交差点を中心に調査を行ないました。......地形を見ようと高い建物にのぼったのですが、建物しか見えない。GLではなくて建物が仮想の山のようにみえて、そこから調査が面白くなっていきました。......

全体討議 東京論──新しい地形としての東京2

東京を潜る

──アンダーグラウンド・コラージュ・シティ

山中新太郎+山中研究室+天内大樹+南泰裕+山田幸司+松田達

2009年8月13日 渋谷のアップリンク内カフェ「タベラ」 MP3 16.9MB 24'32''

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山中──今回は三つの大学(昭和女子大学・日本大学・国士舘大学)が、東京をさわっていくような、触知するようなかたちでそれぞれサーヴェイを行ないました。三つの大学では、東京を断面的に見てそれぞぞれの調査領域を分けたんですね。国士舘大学は空から見た視点で、昭和女子大学は地表をなめるような視点で、そして私たち日本大学は地下に潜るという視点で。地下というのは地上を見るのと違いよく分からない、じっくり見てみると何か新しい発見があるのではないかと思って始めました......

出演者プロフィール

山中新太郎
1968年神奈川県生まれ。山中新太郎建築設計事務所主宰。日本大学理工学部建築学科助教。
http://www.yamanaka-architects.com/

高松研究室作品展「the horizon」公開収録1

建築の地平1 展覧会とその意義

高松研究室学生+梅林克+松田達+五十嵐太郎+山田幸司

2009年10月11日 ASPHODEL MP3 26MB 37'54''

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左──3F展示風景
右──ポーランド歴史博物館設計コンペ参加作品「HARMONIUM」図面
撮影:平野利樹


松田──今日は、京都で行なわれている京都大学高松伸研究室の展覧会会場から公開収録を行ないます。プログラムは4部にわかれていまして、第1部では、展覧会に出展されている高松研究室の学生から、今回の展覧会の意図と位置づけ、過去の高松研究室の足跡をお話しいただきたいと思います。
政所──私たち高松研究室は、高松伸先生のもと、卒業設計の製作や学部の設計演習課題の指導、国内外の実施コンペなど、設計の実践に重点をおいて活動しています。また、活動を外に発信していこうということで、過去に6回展覧会を実施しました。「高松伸と私」展、「手話」展、「OPQ」展、「SYMPLICITY」展、昨年の「The Beyond」展、今年の「the horizon」展です。タイトルは、学生がブレインストーミングして抽出した言葉で、それをたどることで、私たちのテーマやコンセプトも見えてくると思います。......

出演者プロフィール

高松研究室学生
政所顕吾+平野利樹+上園宗也+千葉美幸

梅林克
1963年京都府生まれ。建築家。1987年大阪芸術大学芸術学部建築学科卒業。1987-94年、高松伸建築設計事務所勤務。1994年F.O.B Association設立。1999年益永みつ枝、藤脇慎吾らとともにF.O.B HOMES設立。立命館大学・京都精華大学・東京都立大学・京都大学、非常勤講師。1997年「AURA」で住宅建築賞受賞。2005年「BLANCREA」でグッドデザイン賞受賞。

高松研究室作品展「the horizon」公開収録2

梅林克氏が語る京都の建築

梅林克+高松研究室学生+松田達+五十嵐太郎+山田幸司

2009年10月11日 ASPHODEL MP3 22.5MB 32'47''

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撮影:渡辺育


梅林──京大は、高松さんが来られる前は、デザインに軽い軽蔑があるような校風で(笑)、それが変わったのは近年のことなんです。高松さんが非常勤で京大に来られた時に、僕も呼ばれたことがあります。15年くらい前です。......その頃は、京都精華大学が良かった。ちょうどスタジオ制になって、上田篤先生がドローイングにも力を入れていました。......

出演者プロフィール

梅林克
1963年京都府生まれ。建築家。1987年大阪芸術大学芸術学部建築学科卒業。1987-94年、高松伸建築設計事務所勤務。1994年F.O.B Association設立。1999年益永みつ枝、藤脇慎吾らとともにF.O.B HOMES設立。立命館大学・京都精華大学・東京都立大学・京都大学、非常勤講師。1997年「AURA」で住宅建築賞受賞。2005年「BLANCREA」でグッドデザイン賞受賞

高松研究室学生
政所顕吾+平野利樹+上園宗也+千葉美幸

高松研究室作品展「the horizon」公開収録3

京大学生の卒業設計

高松研究室学生+梅林克+松田達+五十嵐太郎+山田幸司

2009年10月11日 ASPHODEL MP3 28.8MB 41'53''

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左から、政所顕吾《IDIUM》、上園宗也《再生医療都市》、千葉美幸《登る都市は近づく》、平野利樹《祝祭都市》 撮影:平野利樹


松田──第3部は、皆さんの展示作品のプレゼンテーションを行なってもらいたいと思います。
政所──僕は、卒業設計は地元でやろうと決めていました。生まれが鹿児島なので、鹿児島そのものを表象するような建築を構想しようと決めて、取り組みました。......
上園──僕は1回生の時から卒業設計は医療に関係したものをやりたいと思っていました。ちょうど3回生の終わりに京大の山中伸弥教授が再生医療に関するIPS細胞を発見されて、再生医療に対する進路が開けた頃、4回生になったのです。それで卒業設計は再生医療が本格化した社会において、病院がどのようになるのか考えた計画をしました。......
千葉──《登る都市は近づく》という山のような建築をつくりました。都市に人間の居場所もできないかと考えて、そそり立つような巨大な壁面を砕いていきました。......
平野─僕は卒業設計では《祝祭都市》という、大阪の都心部に建つ結婚式場を作りました。

出演者プロフィール

高松研究室学生
政所顕吾+平野利樹+上園宗也+千葉美幸

梅林克
1963年京都府生まれ。建築家。1987年大阪芸術大学芸術学部建築学科卒業。1987-94年、高松伸建築設計事務所勤務。1994年F.O.B Association設立。1999年益永みつ枝、藤脇慎吾らとともにF.O.B HOMES設立。立命館大学・京都精華大学・東京都立大学・京都大学、非常勤講師。1997年「AURA」で住宅建築賞受賞。2005年「BLANCREA」でグッドデザイン賞受賞

高松研究室作品展「the horizon」公開収録4

討議 建築の地平2

高松研究室学生+梅林克+高松伸(電話出演)+山崎泰寛+松田達+五十嵐太郎+山田幸司

2009年10月11日 ASPHODEL MP3 25.5MB 37'10''

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山崎──自分たちで展覧会をする予定はありますか。発表の機会を増やすような。
政所──......この展覧会は、学生が自主的に行なっていて、スポンサーもつれてきました。ただ、それ以外の方法での情報発信は今のところ考えられていません。
梅林──今度やろうと思っていることがあります。最近は出版事情も難しくて、本もなかなか出せない。そこで中国に持って行こうと。韓国も最近すごい。このあいだ、香港のメディアが来日した際に、この展示会のことを話したら、ぜひ香港にも持って来てほしいと言っていました。ですから、中国にぜひ持って行きたい。ウケが全然違うと思います。......

出演者プロフィール

高松研究室学生
政所顕吾+平野利樹+上園宗也+千葉美幸

梅林克
1963年京都府生まれ。建築家。1987年大阪芸術大学芸術学部建築学科卒業。1987-94年、高松伸建築設計事務所勤務。1994年F.O.B Association設立。1999年益永みつ枝、藤脇慎吾らとともにF.O.B HOMES設立。立命館大学・京都精華大学・東京都立大学・京都大学、非常勤講師。1997年「AURA」で住宅建築賞受賞。2005年「BLANCREA」でグッドデザイン賞受賞

建築新人戦2009インタヴュー1

建築新人戦2009とは

五十嵐太郎+山田幸司+槻橋修+建築新人戦参加学生

2009年10月10日 京都工芸繊維大学3号館 MP3 17.9MB 26'08''

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五十嵐──アーキニアリング・デザイン展が全国を巡回しています。現在は、京都に来ていて、その関連イベントとして「第1回建築新人戦」が開催されました。「仙台卒業設計日本一決定戦」は卒業設計がターゲットで、「九州デザインリーグ」は卒業設計も修士設計も2年、3年生も参加することが出来ます。「建築新人戦2009」は2年生、3年生の作品に焦点を絞っています。...卒計は自分で課題を設定できるので、わりと好き勝手にできるのだけれど、2、3年生の作品ではそれぞれの学校の校風と、それぞれの大学の先生のキャラクターがよく出ています。その枠のなかでも、個性が垣間見えて、それが建築新人戦の見所だと思います。

出演者プロフィール

建築新人戦参加学生
植松千明(信州大学)
田村正(早稲田大学)
宮田裕次(京都大学)
常光郁江(京都大学)

建築新人戦2009インタヴュー2

建築新人戦2009 入賞者コメント

五十嵐太郎+山田幸司+槻橋修+建築新人戦参加学生

2009年10月10日 京都工芸繊維大学3号館 MP3 21.6MB 31'24''

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山田──来年の新人戦に参加する後輩にむけてアドバイスはありますか。
植松──楽しくやるのが一番だと思います。目標は誰よりも、この会を楽しもうということでした。模型の見せ方や、プレゼンテーションも楽しく伝わるようにしました。
田村──応募要項には模型の大きさの制限があったのですが、どうしても見せたいと模型を2個送ってしまいました。自分のやったことを出し切ることに専念して、その結果、良い結果が生まれたのですごく嬉しかったです。
宮田──自分にしかできないことを、自分にしかできない表現でプレゼンテーションするのが大切だと思います。
常光──2、3回生の課題の図面や、模型、データはとっておかなければいけないと思いました。

出演者プロフィール

建築新人戦参加学生
植松千明(信州大学)
田村正(早稲田大学)
宮田裕次(京都大学)
常光郁江(京都大学)

アストリッド・クライン インタヴュー1

colors workshop 2009について

アストリッド・クライン+福屋粧子+大西麻貴+久山幸成+槻橋修+中田千彦+    小野田泰明+山田幸司

2009年10月17日 宮城県某所 MP3 17.5MB 25'28''

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お知らせ

建築系ラジオ、コアメンバーのひとりである建築家山田幸司氏が2009年11月20日に永眠されました。制作メンバー一同、心よりご冥福をお祈り致します。
なお、松田達氏のサイト「建築系ラジオ」にて、緊急追悼特集が行なわれています。
http://radio.tatsumatsuda.com/2009/11/memory-koji-yamada-all.html

山田──今日はワークショップの初日でした。クライン・ダイサムさんの「ギャラリー・間巡回展」が東北工業大学で行なわれていることもあり、クラインさんにワークショップの講師をしていただいています。まずは、クラインさんからこの展示会とワークショップについてお話しいただきたいと思います。
クライン──このワークショップが行なわれるのはとても素晴らしいことだと思います。学生がクラスルーム以外に集まるチャンスはなく、自分の大学の人たちにしか会う機会がありません。このチャンスに、ほかの大学の人と会って、社会に出ているのと同じような体験が出来ます。お互いが、どのようなレベルにいるのか感じながら、短時間でプロジェクトを行なうのがとても面白いと思います。今日の1時間のブレインストーミングだけでも、誰がリーダーで、誰が面白いアイデアを持っていて、誰がついていくのか。誰が写真をとっているのか。役割分担がすでに表われていてとても面白いのです。

出演者プロフィール

アストリッド・クライン(Astrid Klein)
1962年イタリア、バレーゼ生まれ。1986年エコール・ド・アール・デコラティーフ(フランス)卒業。1988年ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(ロンドン)修了。1988年より日本での活動を始める。1988-1991年伊東豊雄建築設計事務所。1991年クラインダイサムアーキテクツ設立。1997-2005年日本大学講師。2002年、慶応義塾大学、筑波大学講師。
http://www.klein-dytham.com/

福屋粧子
1971年東京都生まれ。1994年東京大学工学部化学生命系卒業。1996年東京大学工学部建築学科卒業。1998年東京大学大学院建築学専攻修士課程修了。1999-2004年SANAA事務所。2005年より福屋粧子建築設計事務所主宰。2006年より慶応義塾大学理工学部助教。

大西麻貴
1983年愛知県生まれ。2006年京都大学工学部卒業。2008年東京大学大学院建築学専攻修了。同年より同大学院博士過程藤井明研究室所属。大西麻貴+百田有希共同主宰。
http://oaharchi.exblog.jp/

久山幸成
1973年兵庫県赤穂市生まれ。1996年横浜国立大学工学部卒業。1997年よりクライン ダイサム アーキテクツ。2006年より関東学院大学講師。

槻橋修
1968年富山県生まれ。1991年京都大学工学部建築学科卒業。1998年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程単位取得後退学。2002年ティーハウス建築設計事務所設立。2009年より神戸大学大学院工学研究科准教授。
http://www.teehouse.com/

中田千彦
1965年東京生まれ。1990年東京藝術大学美術学部建築科卒業。1993年コロンビア大学建築・都市・保存大学院修了。2003-2006年新建社。2006年より宮城大学事業構想学部デザイン情報学科助教授を経て准教授。

小野田泰明
1963年石川県生まれ。1986年東北大学工学部卒業。1998-1999年カリフォルニア大学建築都市デザイン学科客員研究員。2007年より東北大学大学院工学研究科教授。
http://www.archi.tohoku.ac.jp/labs-pages/keikaku/index.html

アストリッド・クライン インタヴュー2

クライン・ダイサム・アーキテクツの仕事

アストリッド・クライン+福屋粧子+大西麻貴+久山幸成+槻橋修+中田千彦+    小野田泰明+山田幸司

2009年10月17日 宮城県某所 MP3 18.7MB 27'09''

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福屋──今日の講演会を伺っていて、ピカピカのような表現するための言葉が出てきました。私はピカピカとか、フワフワというのは日本語ならではの表現だと思うのですが、気に入っている言葉があったりするのでしょうか。プロジェクトの名前は皆で考えるのですか。
久山──擬音語、擬態語という感覚は英語にはないとマーク・ダイサムもアストリッドも言っています。繰り返す言葉のリズムや音の響きが楽しげに感じるようです。KDa(クライン・ダイサム・アーキテクツ)でものをつくるときにも、言葉や理詰めでつくっていくのではなくて、コミュニケーションしたり絵を描いたり、ジョークを言い合って笑ったりと、ジェスチャー的な面が多いのです。それを表現するには難しい言葉ではなくて、誰でもすぐわかる、コミュニケーションしやすい言葉がポイントになっていると思います。
クライン──マークと私は、日本語のニュアンスのある綺麗な言葉を多く知っているわけではないので、すぐに伝わり、繰り返しで覚えやすい言葉を選ぶことが多いのです。......

出演者プロフィール

アストリッド・クライン(Astrid Klein)
1962年イタリア、バレーゼ生まれ。1986年エコール・ド・アール・デコラティーフ(フランス)卒業。1988年ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(ロンドン)修了。1988年より日本での活動を始める。1988-1991年伊東豊雄建築設計事務所。1991年クラインダイサムアーキテクツ設立。1997-2005年日本大学講師。2002年、慶応義塾大学、筑波大学講師。
http://www.klein-dytham.com/

福屋粧子
1971年東京都生まれ。1994年東京大学工学部化学生命系卒業。1996年東京大学工学部建築学科卒業。1998年東京大学大学院建築学専攻修士課程修了。1999-2004年SANAA事務所。2005年より福屋粧子建築設計事務所主宰。2006年より慶応義塾大学理工学部助教。

大西麻貴
1983年愛知県生まれ。2006年京都大学工学部卒業。2008年東京大学大学院建築学専攻修了。同年より同大学院博士過程藤井明研究室所属。大西麻貴+百田有希共同主宰。
http://oaharchi.exblog.jp/

久山幸成
1973年兵庫県赤穂市生まれ。1996年横浜国立大学工学部卒業。1997年よりクライン ダイサム アーキテクツ。2006年より関東学院大学講師。

槻橋修
1968年富山県生まれ。1991年京都大学工学部建築学科卒業。1998年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程単位取得後退学。2002年ティーハウス建築設計事務所設立。2009年より神戸大学大学院工学研究科准教授。
http://www.teehouse.com/

中田千彦
1965年東京生まれ。1990年東京藝術大学美術学部建築科卒業。1993年コロンビア大学建築・都市・保存大学院修了。2003-2006年新建社。2006年より宮城大学事業構想学部デザイン情報学科助教授を経て准教授。

小野田泰明
1963年石川県生まれ。1986年東北大学工学部卒業。1998-1999年カリフォルニア大学建築都市デザイン学科客員研究員。2007年より東北大学大学院工学研究科教授。
http://www.archi.tohoku.ac.jp/labs-pages/keikaku/index.html
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建築についてのさまざまな話題を音声番組として全国配信する「建築系ラジオ/ r4」。音声が持つ可能性とネットのアーカイブ性を組み合わせた、新しい建築メディアの試みです。「r4」は、パイロット版を経て、4人のコアメンバー が4つの"r"をキーワードとしてあげることから名付けられました。建築家への インタヴューの他、学生を交えた連載番組や、公開討議など、多彩な構成 で、建築について語ります。

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