PLAY
松本淳──僕は東工大で建築を勉強しました。当時は、坂本研究室や塚本研究室の流れのなかにあって、それとは違う八木研究室に所属していました。建築空間の構成論では語れないものが絶対にあるはずだという思いがありました。学部の時、学生の興味が空間構成論にいってしまうなかで、自分の興味は違うところにありました。本のなかでは、そのような理解しにくい部分を上手くとりあげられないかと、二項対立的なキーワードを並列的にならべ、最終的にどうやって調和をとっているのか書きました。......
五十嵐──構成論では語れない魅力がアールトにあるということですか。
松本──例えば構成論では、主室があるとか、間をつなぐ「室」すなわち動線室があるとか、空間の構成を記述していくのだけれど、アールトの場合は、もっと素材に関する興味があり、空間の中にレベル差も設けるなど、概念化すると見えなくなってしまう部分が多すぎる。自分はそこに興味がありました。
紹介書籍:『ヘヴンリーハウス──20世紀住宅建築をめぐる旅4 マイレア邸/アルヴァー・アールト』
発行所:東京書籍
発行日:2009年8月
著者:松本淳
頁数:160頁
定価:2,520円(税込)
出演者プロフィール
松本淳
1974年、横浜市生まれ。建築家。1997年東京工業大学工学部建築学科卒業。1997-98年ヘルシンキ工科大学留学。2000年東京工業大学大学院理工学研究科建築学専攻修了。「アルヴァー・アールトの規格住宅における『標準』概念の表出」にて日本建築学会優秀修士論文賞受賞。東京工業大学大学院博士課程在籍後、2004年から慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科助教(同大学坂茂研究室助教)。2006-09年までフレームデザイン株式会社勤務。現在、東京工業大学、慶應義塾大学、芝浦工業大学、明星大学非常勤講師。