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柄沢──南後さんの水平垂直の話に繋げると、僕がコールハースについて思うのは、きわめて垂直のデザインがヘタクソだという印象です......水平の美学、垂直の美学というのがそれぞれ言葉として存在するんじゃないかと思っていて......これは強引な図式化なんですが、ロシア・アヴァンギャルドの空間は水平美学で、とにかく徹底的な水平性が強調されたデザインがつねに展開している。......水平美学は共産主義の美学としてある。一方で、マンハッタンの《ロックフェラーセンター》のような、垂直なラインを強調する美学のように、資本主義の空間における美学はつねに垂直になる傾向がある。......だとしたら、そのふたつがある種転倒されたかたちであるというのは、まさにその通りだなと思っていて、僕がさっき言った話に関連させると、垂直に存在しているものに、なんとか強引に水平のものを入れていこうとするパッションが、レム・コールハースにはつねに存在している......