第5回:せんだいメディアテークをめぐって
6──《多摩美術大学図書館(八王子キャンパス)》
伊東──2004年から2007年にかけては《多摩美術大学図書館(八王子キャンパス)》で協働しました
- 6-1──《多摩美術大学図書館(八王子キャンパス)》
(c)石黒写真研究所
佐々木──これは構造システムを示したものですね
- 6-2──構造システム。上から屋根スラブ(RCボイドスラブ)、2階アーチ(SC構造)、2階スラブ(RCボイドスラブ)、1階アーチ(SC構造)、1階スラブ[一部地下1階](RCスラブ)
提供=佐々木睦朗構造計画研究所 - 6-3──施工現場。鉄板でアーチを組む
- 6-4──施工現場。アーチの外側に配筋
- 6-5──施工現場。コンクリート打設
以上3点、提供=伊東豊雄建築設計事務所 - 6-6──内観
提供=多摩美術大学、撮影=伊奈英次 - 7-1──《座・高円寺》
提供=伊東豊雄建築設計事務所 - 7-2──構造システムダイアグラム
提供=佐々木睦朗構造計画研究所 - 7-3──施工現場。鉄板に穴を空けてコンクリートを打設
提供=伊東豊雄建築設計事務所 - 7-4──鉄骨軸組図
提供=佐々木睦朗構造計画研究所 - 7-5──鉄板の製作
提供=伊東豊雄建築設計事務所
伊東──施工中の写真です。まず鉄板でアーチを組んで、外側に配筋をしてコンクリートを打つわけです
7──《座・高円寺》
伊東──《座・高円寺》(2008)も同じく鉄板とコンクリートのハイブリッドです
伊東──敷地のすぐ近くを中央線と環状7号線が直交していますが、劇場ですから遮音性能を上げないといけない。コンペティションのときに建築家は「建築を開く」とよく言うのですが、遮音性能を確保するために「あえて閉じる」ことを掲げてコンペティションに臨みました。その結果、審査員長の古谷誠章さんはこの考えに共感してくれたのです。
サーカス小屋のようなイメージです。サーカス小屋は閉じていて幕の下から覗き込みたくなります。そのような、なにかがここから発信されるといった期待や秘めやかさがあると面白いなと思ってこんな形になりました。
佐々木──《座・高円寺》は、外側が鉄板で内側がコンクリートという構造システムなのです。外部に鉄板の強い表情を出したいということでそういう形態を採ったのですが、施工がかなり大変でした。鉄板が内側にあればコンクリートを上から流すのですが、逆転しているわけです。そのため鉄板に穴を空けて流動化コンクリートを詰めるといった工夫をしました 。
伊東──下に鉄板があってそこに配筋を敷いてコンクリートを打てば遥かに施工が楽なわけですよね。ただしそうすると、コンクリートの上に防水が必要となるのでシャープさが出なくなる。なんとしても表面を鉄板にしたいために、下にもう一枚薄い鉄板を敷いて型枠をつくって、上の鉄板に穴を空けてコンクリートを打つという面倒なことをしました 。
佐々木──正直エンジニアとしてはあまり賛成できないけれど、デザイナーとしては同意できるので、屋根はそういうかたちでやりました。外壁面も鉄板がありますが、耐火の問題などで内部は鉄骨とコンクリートのハイブリッドです。丸いのは壁厚を貫通させた窓です
伊東──工場で鉄板を製作中の風景ですね。直径30センチの窓です。鉄板にリブがついていましたね 。
201605
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2020-06-01